22. 弟子失格

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 その足で、あたしは重い足をひきずるようにしながら駅まで歩き、さびれたビジネスホテルに部屋を取った。  アパートはとっくに引き払っていたので、帰るところなんてもうなかったからだ。  ベッドと小さなデスクがあるだけの小さな部屋に入り、すぐに横になった。  もちろん、眠れるわけなんて、ない。  でも、身体を縦にしているのが……、たったそれだけの普段のことが、今はとても苦痛だった。  まるで身体中の細胞が灰色のコンクリートに代わってしまったような気持ちで、ただぼんやりと天井を見上げる。 (これから、どうしよう)  とにかく、稼ぐ手段を考えなきゃならない。螺旋邸で稼いだ給料なんて、すぐになくなる。 (新しい仕事、かあ……)  なんだか、頭ではわかっていても、気力がわいてこない。  潜入ルポをしようとしていた後ろめたさと、初めて入り込んだ家庭的な世界に対する愛着が、今になって急に勢いをつけて押し寄せてくるようで、それを受け止めるだけで精一杯だ。  ずっと、根無し草なのが当たり前で、むしろそれが快適で、これからもずっとそう生きていくんだと思ってた。  なのに、急にこのふわふわした状況に戻されたとたん、みっともなく動揺するなんて、思ってもみなかった。  肉体的なものではなくて、精神的なものだと思うけど、ひどく疲れていたあたしは、いつの間にか半覚醒のような状態で寝入ってしまった。
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