23. 母を知る人 1

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 相手はすぐに、あたしの不審感に気づいたようだ。急いで説明してくれた。 「ああ、変に思ったらごめんなさい。さっき、レジで堀田さんと話してるのが、耳に入って。沖津棗さんって、ちょっと他にはない名前だから、もしかしてと思って」 (えっ、堀田さんまで知ってるんだ) 「沖津さんにはお世話になったから、ついつい懐かしくなっちゃって。ちょっとオハナシでもできたらと思ったの。突然、ごめんなさいね」  鏑木さんはそう言って目を細めた。 (まさか、お母さんの知り合いだったなんて)  あたしはあたしは慌てて申し出た。 「あの、あの、よかったら……、これから、どこかのお店にでも一緒にどうですか。私も、母の話を聞きたいです」 「私は大丈夫だけど……。いいの?」 「ぜひ。ええと……、お店……」  どこかいい店でも紹介したいところだけど、いかんせんこのあたりの土地勘が全くない。情けない。 (せっかくなんだから、気の利いた店に行きたい!)  スマホを取り出して必死で探すんだけど、どれもなんだか今いち。迷ってるのを見かねて、鏑木さんが提案してくれた。 「よかったら、ちょっと行ったところに、知り合いがやってる小さいバーがあるから、そこはどう?」 「い、いいんですか?」 「もちろん。そちらがよければ」 「じゃ、じゃあ、お願いします」
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