23. 母を知る人 1

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「やっぱり、そうだったんですか」  あたしは頷いてみせる。  別にはっきり言われたわけじゃないけど、そういうニュアンスを感じることは、正直何度かあった。  だからまあ、心当たりに正解をもらったような気分だ。 「まあ、留見子さん、モテたから」  鏑木さんはそう言ってニヤリと笑う。 「そうなんですか?」 「そうそう。でも留見子さんのほうは、堀田さん相手に限らず、全般的にそういうの面倒くさがってたふし(・・)はあったけど」 「じゃあ……、あの」  あたしは、思い切って訊いてみることにした。 「あたしの父が誰か、ご存じですか」  この質問に、鏑木さんは黙りこくった。  答えたくないのか、答を知らないからなのかはわからない。  他人の家族の事情に首を突っ込みたくない、って人がいることだって、わかってる。  でも、あたしは一縷の望みを捨てきれなくて、次の言葉が出てくることを期待して、ずっと待っていた。
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