24. 母を知る人 2

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「それになにより、あなたのことを書いてあるんだし、ね」  鏑木さんの言葉に、あたしはなんだか、頭のなかが熱くなってきた。  母の痕跡が、しかも自分のことをどう思ってくれていたのか、わかるものが残っているなんて、思ってもみなかった。 (今日はなんだか、びっくりすることばっかりだ)  あたしのそんな気持ちをわかってくれたのか、鏑木さんは今日はこのあたりにしましょうか、と提案してくれた。 「これ、渡しておくから。なにかあったら、気軽に相談して」  そう言って、名刺もくれた。 「い、いいんですか」 「私も若い頃はずいぶん、留見子先輩に面倒みてもらったし。恩返しみたいなものだから、気兼ねしないで」 「ありがとうございます」  憧れの人に会えて話ができただけでもすごいことだったのに、さらにはなににも代えられないすごい贈り物をもらえたようで、帰りの道のことは、ほとんど覚えていなかった。
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