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『本当に小さな子供って、めんどくさい』
『でもだからこそ、気持ちが通じ合ったり、まっすぐな感情を向けられると、そのぶんだけもっともっと愛したくなる』
『私がこんな気持ちになるなんて、棗がこの世に現れてくれるまで、想像もしてなかった。まるで、私まで新しく生まれてきたみたいだ』
『ありがとう、棗。あたしの元に生まれてきてくれて』
……あたしには、愛情が与えられなかったと、ずっと思ってた。
だからひとりで生きていくしかないんだと、誰もがいつしか離れていってしまうものなのだと、そう、思ってきた。
でも……。
(お母さん、お母さん、お母さん……)
あたしの頭のなかは、まるで呪文のように、その言葉が反響し続けていた。
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