26. 堀田さんからの連絡

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「資料……ですか?」 (なんだろう?)  あたしは首を傾げた。 『あの家の設計図だよ、設計図』 「設計図?」  あたしはオウム返しに訊くしかない。  だって、それがどういうことに役に立つのか、見当もつかなかったからだ。 『あの家、からくり細工で有名な作家が関わってたんだよ』 「はあ」 (それがなんだっていうんだろう) 『それで、どうもな』 「はい」 『設計図は施工が終わったら処分させたって話だけど、それの一部を撮影したものを入手できたんだよ。あの家、いろいろと裏の仕掛けがあるらしい』 「仕掛け?」 『なんだろうな、ほら、あれ。忍者屋敷? あんな感じらしいぞ』 「に……忍者、ですか」 (そんなまさか。テーマパークじゃあるまいし)  あたしが半信半疑なのを感じたのだろう。堀田さんは言葉を続けた。 『螺旋階段も、かなり怪しいと思うぜ。となると、話が変わってくるだろ?』 「はあ、まあ……」  煮え切らないあたしの態度に、堀田さんはちょっと焦りを感じてるみたいだった。 『まあとにかく、見てみりゃわかるって。貸してやるから、取りに来い』 「はあ……」  やたらと、積極的だ。 『受付に預けておくから、あとで社まで取りに来い』 「はあ……」 『じゃあな。がんばれよ』 「はあ……、どうも……」  言いたいことだけ言って、堀田さんは通話を切った。  正直、全然、乗り気になれない。  でも相手の勢いに負けて、ついつい承諾してしまったような形になってしまった。 (あーあ……)  優柔不断な自分に腹が立つ。
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