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(もうこの話に加担するの、やだな)
それが、正直な気持ちだった。
あの兄妹は、誰にも迷惑をかけずに穏やかに暮らしてる。
芙蓉さんには目をつけられてるみたいだけど、別に本家を乗っ取ろうなんて意志は、露ほどもないみたいで、どちらかというと、向こうが過剰防衛してる感じ。
つまり、誰かに実害を及ぼそうとしているわけじゃない。
(今さら、つつかなくても)
……でも。
でも、もしも、芙蓉さんの息子さんを、意図して螺旋階段から落としたのなら……。
(それは、間違いなく殺人だ)
それは、追及され、明らかにされるべきことのはずだ。
それに協力することは……、たぶん、『正義』と言われるはずだ。
(もしもジャーナリストを目指すのなら……)
『正義』を追求することは、最上級の目的でなきゃいけない。
(その、はずだ……)
あたしは気が進まなかったが、とにかくその設計図というものを確かめるために、やっぱり受け取りに行くことにした。
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