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家を出る前に、母の日記をひとつだけ読む。
もちろん、いったんすべての記録は読み終わっているので、再度読む形になる。
これは、今のあたしの習慣だ。
一日を始める前にやるルーティーン。
まずは一覧ページを開き、目を閉じて触れる。
そうやって多少のランダム要素を入れて、ジャンプしたページの日のものを読むのだ。
なんというか、一種、占いというかおみくじというか、そういったものに近いノリだ。
『守るものができると、こんなに強くなれるんだ。棗、教えてくれて、ありがとう』
そんな言葉が書かれた日のページが開いている。
なんだか、今のあたしにはちょっと痛い。
（なんでだろう）
疑問を感じたけど、今はそれを深堀りしてる時間の余裕はなかった。
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