28. 螺旋邸ふたたび 1

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 牧園家の最寄駅を降り、すでにもう遠い記憶になっていた、懐かしい道筋をたどる。  一歩一歩、進むうちに、あたしの足取りは重くなった。  ポラロイドを見て受けた衝撃が、だんだんと滲んできたせいかもしれない。  追及してやろう、するべきだ。そういう感情が、だんだん強度を失い始めていた。  確信に似たなにかがさっきまであったのに、それがどんどん薄まっていく。 (やっぱり、引き返そう)  とうとうそう決めて、足を止めたときだった。  横に、スーッ、と車が止まった。 (見覚えがある。……どこでだっけ)  じっと見つめて思い出そうとしたが、それより前に窓が開いた。  顔を出したのは、例の、芙蓉さんだった。 「あんた、あの家に行くんでしょ」  前置きもなく、いきなり言われる。 (えっ)  なんで、知ってるんだろう。  そう思ったけど、まあ、ここにいるってことはそういうこと、と推察するのは、それほど難しいことでもないか。  ただ、なんでこのタイミングで、かち合うんだ? という違和感はある。 「あたしも行くのよ。どう、一緒に乗ってく?」  あげくに、そんな提案をされた。
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