28. 螺旋邸ふたたび 1

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 なんで突然こんなに馴れ馴れしくされるのか、あたしにはまったくわからない。  なので、後ずさりながら断った。 「いいです。帰るところなんで」 「今さらそんなウソ言ったって、無駄よ。行き先はあっちでしょ」  そう言って螺旋邸の方向を顎をしゃくって示したあと、突然車から降り、あたしを引きずるようにして車に乗せてしまった。 「あの、ちょっと、ちょっと……」 「真実を追求しに行くんでしょ? 設計図が出てきたらしいじゃない。あたしも協力するわよ」 (ん?)  さすがに、あたしもここでおかしいことに気づいた。 「なんでそんなに詳しい事情を知ってるんですか」 「あら、だって」  芙蓉さんは意外そうな顔をする。 「あなた、広光の部下なんでしょ?」 「ひろ……みつ?」 (誰だ?)  と一瞬思ったが、すぐに思い出した。  堀田さんの名前だ。  堀田広光。  下の名前で呼ぶことなんてないから、最初わからなかった。 (というか……)  つまり、芙蓉さんは、堀田さんを、下の名前で呼んでるってこと?
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