29. 螺旋邸ふたたび 2

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「取材、受けてもいいわよ」  芙蓉さんはさらに驚くことを言ってきた。 「え? どういう意味ですか?」 「ほら、テレビとか週刊誌によくあるじゃない。近所の評判とか、親戚の話とか。そういうの、必要でしょ」 「いや、別に私は記事にするって決めたわけじゃないんですけど」  なんとなくカチンと来て、あたしもちょっと強めの口調で返してしまう。  なにが気に障ったのかは、自分でもわからないけど……。  いや、なんでかしらないけど、バカにされてるように感じるのだ。  口調や目つき、態度から。 「それより、堀田さんとお知り合いなんですか」  あたしは一番気になることを訊くことにする。  芙蓉さんはそれでやっと、あたしがそれを知らないことがわかったらしい。  露骨に、失敗した、というしかめっ面をした。 「た、ただ単に、取材を受けただけよ。あいつらの悪行を明るみにしてくれる、っていうから」  あげく、見え透いたことを言い始めた。 (ただの取材対象が、記者の名前を呼び捨てにするかい)  あたしは心のなかでツッコミを入れたが、表面的には黙っていた。  どうやら、この人は自分の思っていることを、黙っていられないタイプと見た。  なら、話したいだけ話させたほうがよさそうだ。
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