30. 螺旋邸ふたたび 3

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 雲雀さんの言葉を聞いて、志麻さんがなんとも言えない複雑な表情になった。 (そりゃそうだよね)  あたしがのこのこ顔出してきて、しかも雲雀さんに会うことを許されるなんて、なんていうのか、色々な理屈がおかしいだろう。  でも、それがわかっていても、あたしは雲雀さんに会いたかった。 (ああ、そう)  会いたかったんだ。  この家の、住人たちに。  せめて言い訳させてくれと、そんな甘ったれた願望を、どこかにずっと持ってたんだ。  それで、あたしは志麻さんの困惑に気づかないふりをして、玄関を入った。  最初に目に入るのはやっぱり、例の大きな螺旋階段なんだけど、あたしはそれも見ないふりをして、奥のリビングにまっすぐ向かった。  部屋の中央には、雲雀さんがいた。  車いすの背もたれには触れず背筋をしゃんと伸ばし、鋭い眼光でこちらを見ている。  でも、不思議だった。  目つきは今まで見たことないほど厳しいものではあったけど、そこに、拒絶の色はないように見える。  少なくとも、あたしに対してきちんと対しようとしてくれてる意志は感じる。  だからあたしも、背筋に力を入れ、まっすぐに雲雀さんを見つめ返した。 「ご無沙汰してます」
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