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「そうね」
雲雀さんは重々しく頷いた。
「あれから新しい人も雇ってないから、不便でしかたないのよね」
「それは素直にすみません」
あたしは頭を下げる。
「兄さんも自分の人を見る目に自信がなくなっちゃったみたいだし、あたしも、また新しい人を迎え入れて気を遣うのもなんだか億劫で。志麻さんが色々手伝ってはくれるけど、負担が増えてるわけだから、そろそろ考えなきゃいけないんだけどね……」
(ああ、トラウマみたいになっちゃったのか)
「私のせいですね。本当に申し訳なかったです」
「……ただねえ」
雲雀さんは、小首をかしげる。
「あなた、本当にうちのこと、スクープにするつもりだったの」
たしかに、疑問に思われてもしかたない。
実際、今でもあんまりそれに関してはやる気が起きない。
「どうして、そう思うんですか」
「だって、別に根掘り葉掘り訊かれたりしなかったし、この家のことを調べてる感じ、なかったから……」
「この家のことって、これのことですか」
あたしは思い出して、例のポラロイドをバッグから出した。
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