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手渡されても、それがなんなのかわからないうちは、雲雀さんも淡々とした表情をしていた。
でも、写っているものを理解した瞬間、顔色が変わった。
「これ、どこで手に入れたの」
「知り合いから」
一瞬にして、場の空気が変わったのを感じた。
あたしが一方的に責められる側から抜け出し、対等な立場になったからだと思う。
つまり、雲雀さんたち側だって、責められる要因があったでしょう、ということだ。
別に、今のところ、糾弾するつもりはない。
でも、これで、話を聞いてもらえるだろう。
そう思うと、持ってきてよかったと思えて、申し訳ないといえば申し訳ない。
「私の言動なんかも、この集音管とやらで、聞くことができたんですか」
雲雀さんは固い表情のまま、おし黙っている。
あたしはこれについて、そこまで追及するつもりはないことを伝える必要があると考えた。
「それがあったから、私を信用してくださっていた、と、そう解釈していいんでしょうか」
「えっ」
あたしの言ったことがあまりにも意外だったのだろう。
いつも冷静な雲雀さんらしくなく、とっさに声をあげた。
まあ我ながら、能天気な解釈だと思う。
でも、落ち着いて考えてみると、そうとしか思えない。
離れで偶然会った爽希さんと会話した後から、軟化した態度。
そのときは不思議な偶然だと思ったけど、今考えたら、いくらなんでもタイミングがよすぎる。
「でもそもそも、なんでこの家はこんな構造になってるんですか」
あたしは螺旋階段でのことについて触れるまえに、まずはそこから訊いてみることにした。
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