30. 螺旋邸ふたたび 3

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 手渡されても、それがなんなのかわからないうちは、雲雀さんも淡々とした表情をしていた。  でも、写っているものを理解した瞬間、顔色が変わった。 「これ、どこで手に入れたの」 「知り合いから」  一瞬にして、場の空気が変わったのを感じた。  あたしが一方的に責められる側から抜け出し、対等な立場になったからだと思う。  つまり、雲雀さんたち側だって、責められる要因があったでしょう、ということだ。  別に、今のところ、糾弾するつもりはない。  でも、これで、話を聞いてもらえるだろう。  そう思うと、持ってきてよかったと思えて、申し訳ないといえば申し訳ない。 「私の言動なんかも、この集音管とやらで、聞くことができたんですか」  雲雀さんは固い表情のまま、おし黙っている。  あたしはこれについて、そこまで追及するつもりはないことを伝える必要があると考えた。 「それがあったから、私を信用してくださっていた、と、そう解釈していいんでしょうか」 「えっ」  あたしの言ったことがあまりにも意外だったのだろう。  いつも冷静な雲雀さんらしくなく、とっさに声をあげた。  まあ我ながら、能天気な解釈だと思う。  でも、落ち着いて考えてみると、そうとしか思えない。  離れで偶然会った爽希さんと会話した後から、軟化した態度。  そのときは不思議な偶然だと思ったけど、今考えたら、いくらなんでもタイミングがよすぎる。   「でもそもそも、なんでこの家はこんな構造になってるんですか」  あたしは螺旋階段でのことについて触れるまえに、まずはそこから訊いてみることにした。
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