32. 螺旋邸ふたたび 5

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「雲雀! 雲雀、大丈夫か!?」  爽希さんの心配する声が聞こえる。  たぶん、志麻さんが連絡して、慌てて帰ってきたに違いない。 「あの女は追い出したぞ、雲雀……」  話しながらリビングに入り、一瞬にして身構えた。  あたしがいるとは、聞いてなかったんだろう。 「なんであんたがここにいる」  あまりにも冷たい視線に、あたしは首を竦めるしかない。 「あたしが招き入れたの」  見かねたのか、雲雀さんが庇うように口を出してくれた。  それでも、気に食わないことは気に食わないのだろう。  硬い表情は変わらなかった。 「いくら雲雀がそう言ったからって、図々しい……」  そこまで言っている途中だった。 「ちょっと、逃げるんじゃないわよ!」  怒鳴りながら、芙蓉さんまで飛び込んできた。 「あなたもいい加減にしてください。そちらの家とは、一切関わりを持つつもりはないと、繰り返し言っているでしょう。大基くんはお気の毒でしたけど、とにかくお引き取りください」  爽希さんは苛立つ。 「お気の毒だなんて、言える立場なの!」  その態度に、芙蓉さんはかえってヒートアップする。 「まったく。僕のいない隙を狙って、妹にわけのわからない因縁をつけに来るなんて、汚い手を使うのはもうやめたらどうですか」  そして、あたしを見た。 「あんたもいい加減にして、この女連れて帰れ。今すぐ」
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