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この家で過ごしているうちに、住人たちの性格や行動原理といったものを、多少なりとも理解できたと思っていた。
でも、違うんだ。
(そんなの、ただのあたしの思い込みだった)
そう思うのは、なんだかとても胸が締めつけられた。
ただ、そんな風にあたしがショックを受けているあいだに、芙蓉さんは逆に元気を取り戻したらしい。
爽希さんに勢いよく掴みかかった。
「これ!? これ、やったのね!? 大基が落ちたのは、これのせいなんでしょ!?」
爽希さんはというと、臆するそぶりなどみじんもなく、芙蓉さんをしっかりと見つめ返した。
「後悔はしてません」
この答に、芙蓉さんは絶句する。
あたしも、驚いた。
「なに言ってんの!!」
なんとか気を取り直し、かろうじて発した疑問は、理解できないことを言われたせいか、金切り声だ。
「なにが起こったか、教えましょうか」
爽希さんは、冷静に……、というか、かなり冷たい声に、表情だ。
とても、罪を糾弾されている立場の人間の感じじゃない。
まるで、自分の信念の話をしている人のよう。
ただ、やけくそになってる雰囲気も、すこし混じってる気もする。
(もしかしたら、本当はずっと、一切合切ぶちまけたかったのかもしれないなあ)
あたしはなんだかそう思った。
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