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荷物を片づけ、ベッドに座ると、改めてあたしは部屋を見回した。
六畳ほどの広さの洋間で、ベッドがひとつ、テーブルと椅子がひとつずつ、そして壁一体化してるタイプのクローゼット。
収納は他にもベンチにもなるようなタイプの背の低いチェストがひとつあり、ベッドの下にも引き出しがついている。
トイレと風呂は土谷さんと共同で、部屋の奥のドアから繋がっているそうだ。
シンプルでこぢんまりとはしてるけど、仮の住まいとしてはなかなか悪くない。ちょっとした安ホテルくらいの感じだ。
建物じたいは住み込みの人用住居とキッチン、ということで、庭を迂回する通路で、牧園さん兄妹の住む本邸と繋がっているということだった。
ベッドに寝転がると、洗濯したてのシーツが気持ちいい。
マットや上掛けも干してくれたらしく、ふわふわだ。
さらには、きれいな色の端切れをきれいに繋げた布まで掛けてある。
たしか、キルトとかいうやつだ。オレンジやピンクといった暖色系のパステルカラーが主で、なんとなく作った人の温もりのようなものが垣間見える。
「はぁぁ……」
あたしは大きく深呼吸し、寝具が自分の体温で快適な温度になってきたのを楽しむために、ちょっとのあいだ目を閉じた。
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