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そんな事情を説明しながら、土谷さんは冷蔵庫からお菓子を取り出した。
手元を覗き込むと、クリームブリュレだ。
「もしかして、手作りですか」
「そうよ。あなたのぶんもあるから、あとでこっちで一緒に食べましょう。雲雀ちゃんは今日のところ、あなたと一緒にお茶を飲もうなんて言い出さなそうだから」
(たしかに)
土谷さんは、冷蔵庫からさらにミルクを出して、トレイに載せた。
それに蓋代わりに、全体にゆるく布をかぶせる。それも綺麗なキルトでできていた。
「さ、戻りましょうか。お茶はあっちのキッチンに道具が揃ってるから。あなたもできるように、淹れ方、教えておくわ」
「ありがとうございます」
あの機嫌の悪い少女と自分だけで相対するのは気が重かったので、こうやって土谷さんが介入してくれるのは、本当にありがたい。
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