7. 鳥の名前の少女

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 あたしは立ち止まり、振り返る。 「あなたの身の回りの世話と、できれば話し相手を、と言われました」 「嘘でしょ」 (は?)  あたしは面食らった。  だって、そんなことで嘘ついたってしかたない。 「隠したって、無駄よ」 (なにが?) (なにが無駄?)  なんでそんなことを言うのか、さっぱりわからない。 (そもそも、なにを隠してるって?)  一瞬、潜入ルポのことかと思ったけど、それなら爽希さんを引き合いに出してくるのはおかしい。  ということはつまり、あたしがどうのというよりは、お兄さんになにか思うところがあるのだろうか。 「それ以外のことは、なにも聞いていませんけど」  そう答えたんだけど、ちょっと、怒ってるような調子になってしまった。  だって、それに関しては(・・・・・・・)完全に濡れ衣だし。 「どういうことですか」  たたみかけると、雲雀さんは急にばつの悪そうな表情になった。  たぶん、言い返されるとは予想していなかったのだろう。
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