9. ぎこちない朝食

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 次の日の朝は、目覚ましより早く起きた。  なんだかんだ言って、我ながらけっこう緊張しているらしい。  時計を見ると、六時前だ。  空気はまだ冷たく、ベッドにもぐったままでいたほうが快適なのはわかってはいたけど、あたしは起きて、勝手口から外に出てみることにした。  日が出かけている薄明るい街は、ものすごく静かで、まるでゴーストタウンのようだ。  飲みすぎて路上で正体をなくしてうずくまる人も、始発を待ちながら騒ぐ学生も見当たらない。  高級住宅地っていうのは、本当に色々なものが整然としてるんだな、なんて感心してしまった。  感心して周囲を見回していると、坂をちょっとおりたところに、まるで浮かび上がっているように見える一角があった。  コンビニだ。  そこだけ灯りが煌々とついている。  店構えこそ、このあたりの環境にあわせているのかレンガ造り調の渋いものになっているけど、まごうことなきお馴染みのチェーンのコンビニだ。  あたしは突然、見慣れた風景を見たい欲求に駆られた。  部屋に戻ってサイフ代わりのスマホを取り、改めて小走り気味になりながら向かう。
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