16人が本棚に入れています
本棚に追加
ひとしきり、皮肉な笑いを続けたあと、雲雀さんは急に真顔になった。
「でもあなたは、他の人とちょっと違うみたい」
(うーん……。これは、光栄と考えていいんだろうか?)
あたしは反応に困ってしまう。
それを見てどう思ったのか、雲雀さんは今度は素直な笑顔をみせた。
「気に入ったから、追い出さないでおいてあげる」
(いやいや。怖っ……!)
そういえば、たしか爽希さんも面接で牽制してた。
『妹が気に入らなければ……』ってやつ。
なるほど、今までの人たちはそうやってクビになったわけか。
この美少女、儚げで繊細そうなのに、とんだ暴君だ。
「話は終わったわ。帰りましょ」
雲雀さんは妙にさっぱりした顔つきでそう言うと、さっさと自分で車椅子を動かし始めた。
あたしはあわてて後を追う。
帰り道は雲雀さんが自分でどんどん進んでしまうので、あたしは単なる付き添いどころか、ほぼ追っかけと化して、ただついて行くだけだった。
なんだか相手のペースに乗せられっぱなしだ。
(あんまりいい傾向じゃないぞ)
あたしは心の中で汗をかいた。
最初のコメントを投稿しよう!