11. 花束のメッセージ

4/5
前へ
/189ページ
次へ
 家の近くまで来ると、雲雀さんはそのままガレージへと向かおうと、敷地の裏手に続く道に曲がった。  あたしはそれにかなり遅れて追いついて、同じように曲がろうとしたところで、ふと視線を正面の門のほうへと偶然向けた。 (んん?)  門柱の前に、なにか、置いてある。  変なゴミだったりしたら嫌だと思って、あたしは雲雀さんとは別れて、念のため確認しにいった。  大きな花束が、たてかけてある。  大輪の白い百合が十本以上、さらに周りに配されている小花類も全部白で統一されている。 (プレゼントかな? でも置きっぱなしにしていくもんかなあ……?)  あたしはその花束を持ちあげてみた。  その拍子に、なにかが落ちた。  拾ってみると、カードだ。  送り主がわかるようなメッセージでもあるかと、二つ折りになっているそれを開こうとしたときだった。 「それ、あたしの目に入らないところに、捨てておいて」  背後から急に雲雀さんの声がした。  急いで振り返ったけど、そのときはもう、こちらに背を向けてガレージのほうへと戻って行っていた。 (じゃあ、これに、心当たりがあるってことか……)  もしかしたら、雲雀さんあてのプレゼントかな。あんだけ美少女だもん、誰かがファンになっててもおかしくない。   (なかなかやるじゃないの)  そんなことを考えて、ついニヤニヤしながらカードを開く。  でも、あたしは一気に血の気が引いた。 『人殺し』  そこには、殴り書きの文字で、それだけが書かれていた。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加