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家の近くまで来ると、雲雀さんはそのままガレージへと向かおうと、敷地の裏手に続く道に曲がった。
あたしはそれにかなり遅れて追いついて、同じように曲がろうとしたところで、ふと視線を正面の門のほうへと偶然向けた。
(んん?)
門柱の前に、なにか、置いてある。
変なゴミだったりしたら嫌だと思って、あたしは雲雀さんとは別れて、念のため確認しにいった。
大きな花束が、たてかけてある。
大輪の白い百合が十本以上、さらに周りに配されている小花類も全部白で統一されている。
(プレゼントかな? でも置きっぱなしにしていくもんかなあ……?)
あたしはその花束を持ちあげてみた。
その拍子に、なにかが落ちた。
拾ってみると、カードだ。
送り主がわかるようなメッセージでもあるかと、二つ折りになっているそれを開こうとしたときだった。
「それ、あたしの目に入らないところに、捨てておいて」
背後から急に雲雀さんの声がした。
急いで振り返ったけど、そのときはもう、こちらに背を向けてガレージのほうへと戻って行っていた。
(じゃあ、これに、心当たりがあるってことか……)
もしかしたら、雲雀さんあてのプレゼントかな。あんだけ美少女だもん、誰かがファンになっててもおかしくない。
(なかなかやるじゃないの)
そんなことを考えて、ついニヤニヤしながらカードを開く。
でも、あたしは一気に血の気が引いた。
『人殺し』
そこには、殴り書きの文字で、それだけが書かれていた。
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