11. 花束のメッセージ

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 あたしは嫌な気分になりながらも花束を持って、勝手口に回った。  雲雀さんの姿はもうなかった。ガレージから部屋に戻ったのだろう。  あたしは手にしたものをどこに捨てるか迷った。とにかくかさばるので、部屋に備えつけてあるゴミ箱には、どう考えても入らない。  それに正直、かなり金のかかっていそうなそれを、雲雀さんがいくらああ言っていたからといって、素直に処分してしまっていいものなのか、判断がつけられなかった。 (こういう時には、『先輩』に相談するに限る)  あたしはすぐに、キッチンに向かった。どっちにしろ、家のなかの一番大きなゴミ箱はそこにある。 「あら、お帰りなさい。寒くなかった? 雲雀さんに温かい飲み物でも持っていったほうがいいかしら」  入ってきたあたしにそう声をかけてきた志麻さんは、手にしているものを見て、わずかに眉をひそめた。 「あの、これ……。雲雀さんが、捨てておいて、って……」  あたしはおずおずと花束を差し出す。それを無言で受け取り、そのままストレートにゴミ箱に突っこんだ。 「あの、これって……?」  ためしに、ひと言だけ訊いてはみる。 「なんでもないのよ」  でも、返ってきたのはそんな言葉だけだった。いつもの志麻さんらしくない。あまりにもそっけない。 (なんでもない、ってことはないと思うけどな……)  態度から推測するに、志麻さんは事情がわかっていそうだったけど、それをあたしに教えてくれるつもりはないようだった。  ここで下手に食い下がっても、不審に思われるだけだ。  あたしはお礼だけを言って、そのままキッチンを出た。
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