2. 面接へ

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 でもあたしの気分なんかお構いなしに、警備員はさっさとそこを通り過ぎた。そして、さらに奥まったところにあるドアの前で、やっと立ち止まった。  横のキーパッドにパスワードを打ち込んだうえで、さらに物理的な鍵まで使って、ようやく開ける。 (すごいセキュリティだな)  中は、小さなアルコーヴになっていて、エレベーターのドアが、ぽつんとひとつだけあった。  デザインはさっき通り過ぎた普通のやつと同じだけど、ここまで別枠扱いのスペースを作られていると、特別なやつなんだって、さすがにわかる。 「こちらが、最上階直通のエレベーターになります。どうぞご利用ください」 「あの……、普通ので行ったら駄目ですか」  なんだか気後れをして、つい訊いてしまった。 「最上階に通じているのは、これだけなので」  返事は、あっさりしたものだった。 (じゃあ、しかたないか)  あたしは降りてきたエレベーターに、乗りこむしかなかった。
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