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部屋に戻りスマホを見ると、堀田さんからの着信記録がある。
(珍しい)
実は、ここに来てから、連絡はほとんどしてない。
暮らし始めたころに『がんばります』と報告したら、『期待してるからな』って返ってきた。それくらい。
もともとマメに連絡を取り合っていたような仲じゃなかったけど、ここに来てからはさらに間が開いていた。
『どうだ。いいネタはありそうか?』
「あー……」
あたしは、返事とも言えないような、変な音を喉から出した。
本当は訊かれてすぐ、頭のなかに、昼間のことが浮かんだ。
でもなぜか、そのことを今言いたくなかった。
「特にないです。すみません、修行不足ですね」
『……まあ、いいけどさ。ただ待ってても、大きなネタなんて掴めないぞ』
「そうですね。がんばります」
『ああ。いいの取れたら、記事にしてやるから』
「でも、一般人じゃないですか」
『仮名にでもすりゃいい』
「はあ。まあ、そうですね……」
あたしはそう返すしかなかった。
(なんでこんなやる気がなくなってるのか)
(なんだか、自分が情けないな……。なんでもっと、ガツガツやれないんだろう)
電話を切ったあと、そんな風に落ち込んでしまった。
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