2. 面接へ

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 今から、このビルの最上階に入ってる会社の社長さんの面接を受ける。  杜宇鳥(トウトリ)薬品販売という名前の会社だ。あたしは聞いたことなかったけど、この感じだとけっこう儲かってるんだろう。  と言っても、社員を募集しているわけではないらしい。  自宅にいる、若い娘さんの世話係というか、話し相手というか、そういう人を雇いたいという話だ。それも住み込みで。 『色々、いわくがある家みたいなんだよ。そこらへん、内部に入り込んで、見てきて欲しいなあ、って』  堀田さんはそう言っていた。 「堀田さんがいけばいいじゃないですか」  そう言ったら、残念そうな声が返ってきた。 『それがさ。若い娘さんのお相手だろ。いくらなんでも、中年のくたびれた男なんて雇う訳ないと思うんだよな』 「ああ……。それは、さすがにそうですね」 『名前で調べられたら、すぐに記者だってバレるしさ』 (ああ、そういうことか)  あたしはまだ一度も署名記事を書かせてもらったことはないし、SNSもやってない。  だから、ちょっと調べた程度なら、そっち(・・・)業界の関係者だとはわからないはずだ。 「……ところで、いわくってなんですか」  あたしはまず、気になったことを訊いた。
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