15. いなくなった子 2

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 あたしたちはこのサイレンが聞こえると、家に戻ることになっていた。今頃、志麻さんがお昼ご飯の準備をして待っていてくれるはずだ。 「私たちはもう帰るけど、マサシくんも、そろそろ家に帰ったほうがいいんじゃない?」  あたしの言葉に、マサシくんは俯いてしまう。 (ああ、そうか。今帰ると、サボったのがバレるのか)  かと言ってこのままここにいても、多分食べ物も持ってないだろうし、変な人についていったりしても危ない。  あたしは放っておいて帰ってしまっていいものか迷っていると、雲雀さんが言った。 「うちにご飯食べにくる?」 「えっ、いいんですか」  とたん、破顔する。 (ダメだ。こんなに素直じゃ、おかしなヤツに声をかけられても、ついていっちゃいそうだ)  それくらいなら、いったん一緒に食事を済ませてから、改めて送っていったほうがいいだろう。  そう思ったのであたしは口を挟まず、荷物をまとめた。 「あの……、僕、車椅子押します」  マサシくんが申し出てくれるので、お願いすることにした。  初めての経験なんだろう。おっかなびっくり、といった感じではあったが、なるべく揺れないよう、真剣な顔つきで慎重に進める姿は、なんだか微笑ましい。
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