2. 面接へ

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 堀田さんは、あんまり詳しいことを言いたくなさそうだった。 『うーん。できれば、前知識のない、新鮮な目で見て欲しいから、あんまり教えたくないんだけど』 「そういうものですか」  まあ、堀田さんは経験豊かな記者で、リサーチやらなんやらのノウハウは、百戦錬磨の持ち主だ。  プロですらないあたしには、あんまりよくわからなくても、それがいいやり方なんだろう。 『こういう取材ってのは、そういう視点も大切なんだよ。先入観あると、目が曇ることがけっこう多いからなあ』 「なるほど」  たしかに、わかったつもりになってる、ってのは危険なことなのかもしれない。  勤務先の経営者一家に信頼されてる、って思い込んでたみたいに。 『とにかく、今、困ってるんだろ? 渡りに船じゃないかと思ってさ。話に乗ってくれるなら、上流家庭用の求人サイトに名前、登録しておくけど。他会員からの推薦がないとダメなとこ』 「なんでそんなとこ、知ってるんですか」 『まあ~ね~。記者のコネクションを、なめてもらっちゃ困るよ』  なにがなんだかわからなかったけど、結局、登録してもらった。 (だってとにかく、目先の金銭的問題をなんとかしないと)  それで駄目もとで応募したら、わりとあっさり、面接が決まったというわけだ。
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