17. いなくなった子 4

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 爽希さんの突然の大声に、その場にいた人間は、全員身をすくめた。  ふだん物静かなのに、こんなに我を忘れている姿、初めて見た。   (なんか、怖い)  志麻さんも同じみたいだった。  ただ、すごい勢いでマサシくんの前に立ったのは意外だった。  とっさに、爽希さんから庇ったんだ。 「あの、いったいどういうことですか。なにも、子供の前で大声を出さなくても……」  あたしも間に割って入って聞いてみた。  本当に質問したかった興味というよりは、この刺々しい空気をなんとか変えたいという気持ちのほうが強い。ジャーナリスト志望としては情けない限りだけど。 「そもそも、彼を連れてきたのは誰ですか」  でも爽希さんは、逆に質問を返してきた。 「あの、それは、私ですけど……。でも、マサシくんはいい子ですよ」 「マサシくん?」  爽希さんは不思議そうな表情になった。 「誰の話ですか」 「いやだから、その、この子……」  あたしがマサシくんに視線を送ると、爽希さんは急に皮肉な笑みを浮かべた。 「なるほど。『いい子』が、小賢しくも偽名を使ったわけですか」 「偽名?」  なんの話をしてるんだろう。 「彼の名前は、『セイジ』ですよ。福繁(ふくしげ)正嗣(せいじ)。芙蓉さんの息子、僕らの異母弟です」
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