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最終話 旅立ちと目標と
朝がやってきた。今日は大事な日だ。テリーが旅立つかどうかを決める日なんだから。俺はいつもより早めに起き、ご飯を食べる席に着き彼女を待っていた。
続けてテリーもそこにやってきた。
「サトウさん。私...決めました!」
「どうするんだ?」
「冒険に行きたいです!」
それを聞いて俺は嬉しくなった。テリーも大きくなったなあとか。たくましくなったとか。色々感じるものがある。
「良くそう判断できたな!素晴らしい!じゃあ早速後で色々と準備するか!」
そうしていつものように朝食を食べた後、早速国へ下りていって旅の準備をした。最初は防具屋に行った。彼女には旅の道具一式をプレゼントして贈りたい。
誰でも最初は新しくて性能も良いものがいいよな。そして俺はほしい色を聞いた。
「黒くてピカピカしてるのが良いな!」
センスまで闇属性に染まっているのか...?まあ黒がかっこいいのは俺も同意できるがな。
そうして次にギルドへ行った。彼らに会うのもそうだが、他の地域や国のギルドを使う時は「グローバルパス」って言うのが必要らしい。なんだか地球のシステムと似ているような気がしている。
まずはその前に仲間になる人たちのもとへ行った。
「ジョニーさん!来ましたよ!」
「...おお!あの子か!来たってことは仲間になるってことだな?その防具、とても似合ってるぜ!」
「えへへ...」
すぐに打ち解けていてほっこりする。きっと上手くやっていけそうだ。
でも俺は一応もう一回テリーに覚悟はあるか聞くことにした。ここからの冒険に俺たちは一切関わらない。あと時々辛いこともあるだろう。そういう覚悟が本当に出来ているかどうかを確かめたい。
「テリー、ここからはお前の物語を作っていくんだ。俺は何かあっても助けには来ない。自分や自分のパーティー内でどうにかしないといけないんだ。その覚悟は出来ているんだな?」
彼女は迷いのない目で俺を見つめた後、答えた。
「もちろんだよ!辛いこともあるだろうけど、頑張ってみるよ!」
「そうだな。じゃあ頑張ってな!」
俺は最後のテリーの世話としてグローバルパスの発行手続きを手伝った。申請は無事に通り、これで旅の準備は万端だ。これでいつでも出発できる。
「...サトウさん!今までありがとうね!私、頑張るよ!」
「頑張れよ!あとジョニーさん、他の皆さんも。どうかお元気にしていてください。」
「もちろんです!元気に行ってきますよ。」
俺は彼ら全員に握手をして、元気に見送ってあげた。彼らの姿が見えなくなるまで。ずっと手を振っていた。きっと彼らなら巷で有名なパーティーになれるだろう。ジョニーさん始めあの3人は全員優しくて強そうな雰囲気をしていたからな。
テリーは恵まれているな。本当に。
「俺は助けないって言ったけど、いつか魔王城に来ればいつでも歓迎するからな...」
俺は今日初めて1人で魔王城へと帰っていった。でも決して悲しくはなかった。
「テリーさんを無事に送り届けてきましたか?」
「もちろん!彼女は本当に良いパーティーに入れたと思うよ。」
「それなら良かったです。」
俺は椅子に座って色々な事を考えていた。テリーは上手くやっているかどうか。あれから元気にしているか...って。
まだ一日も経ってないのにな。
「でも、またいつか会えればいいな。お互いが生きている内に。」
ああ、だめだ!俺は未来の事を考えるとついいらないことまで考えてしまう...!
「そ、そうだよ!今の俺はあいつらに『お礼』と『ざまぁ』をしに行かないといけないんだから!」
◇◇◇
ここはある一軒家で、一人のおばあさんが住んでいた。そのおばあさんは大事な仲間と半生を過ごした後、今は遠い遠い国で隠居している。
ある日、彼女は扉をノックする音で目が覚めた。
「はて、こんな家に何の用だろうか...」
彼女は扉を開けた。扉の外に一人の男、どこか見覚えのある人が立っていた。そしてその人は言った。
「テリー、元気だったか?君を探すのに随分苦労したんだぞ。」
「...!」
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