第11話 財産ときゅうしゅう

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第11話 財産ときゅうしゅう

「...そう言えば、今までの魔王の財産ってどうなってるの?」  俺はふと気になった。どのくらいの財産を魔王は持っているのか。するとホールが立ち上がった。 「その疑問にうちのハリスがお答えしましょう。ハリス!サトウ様に財産がどれくらいあるのか見せてあげなさい!」 「承知しました。ではサトウ様。こちらへどうぞ。」  俺は言われたとおりにハリスについて行った。財産があるからきっと複雑な道を通るのだろう。そう思っていたが... 「こちらです!」  徒歩3分もかからずに着いてしまった。 「え?着くのが早くない?しかも分厚い扉みたいなのが無いし。」 「これは私とホールの共同管理で、私が責任を持って結界を張って管理しております!」  なるほど、結界を張っているのか。そして新発見。ハリスは結界を使いこなせる。 「...でもそれって強いのか?」 「はい!最強です!」  そうやってはっきり言われてしまうとツッコミどころが無くなってしまうのだけど... 「...とりあえず入ろうか。」 「そうですね!」  そうしたらハリスは結界を何かを唱えて解いた。結界の向こうが見えた瞬間。俺はその眩しさにびっくりしてしまった。 「まぶしっ!」 「私はもう慣れていますけど...そうでしたね。まあゆっくり中に入って来てください。」  俺はやっと目を慣らした。そして財宝がある部屋に入っていった。その中には王冠とか金貨とか延べ棒とか...とにかく金色の物がたくさん積み上げられていた。 「先代の王たちは『金色』が大好きだったんですよ!」  趣味が良いのか悪いのか...まあ権力者を象徴する色だよな。金色って。とにかくピカピカしている。誰かがいつも磨いているかのように。 「見せてくれてありがとう。今度困ったら使わせていただくよ。」 「...そうですね!」 ◇  昼ご飯を食べ終わり、俺はゴロゴロしていた。なんにしろ今日は一斉に休みの日らしくてギルドも緊急の用以外は受け付けていない。だから今町に下りてもボードゲームをやってるおじいさんくらいしかいない。そういう所はやや地球と似てたりするんだな... 「...暇だから何かしないか?」 「そうですね。では何をいたしましょう?」 「暇では無くなりそうですよ。今過激派が我が魔王城へ向かってきています。多分、急襲するつもりなんでしょうね。」  妙に冷静だな...  そう報告してくれたのは幹部の1人であるサヴェリオだった。魔王城に急襲か。確かに暇は潰れそうだな。しかも相手は過激派...きっと容赦はしないだろうな...  そうだ、あれを試してみよう。やってみたかったことがある... 「今回俺が敵を倒すから!サヴェリオ、敵を動けなくすることとか出来るか?」 「そんなの朝飯前ですね。私は影を操る事に特化したスキル『陰影創作』を持っていますから。」  影って...もしかしてこいつも中二病か?まあ一応任せてみよう。 「じゃあ、頼んだぞ。」 「はい。」  そしてサヴェリオは早速影を使って相手の方に移動していった。 ◇  過激派の大軍は魔王城へと向かっていた。今までの仲間の恨みを晴らすために。 「ヒャッハー!魔王城を突き止めたぞぉ!人数も居るんだ!これで魔王も手出しできまい!」 「ぐぁ!な...何だこれは!?」 「おい!いきなり止まるなよってうわぁ!?」  俺は城から次々と敵が足を地面に飲み込まれていくところを見ていた。そして太陽が上がっているというのに影が異様に濃く広がっている。これが影魔法か...なんかかっこいいなぁ。昔の俺だったらすぐ刺さっていただろう。 「...魔法にかかりましたか、単純な人たちですねー。」 「...誰だ!?」 「私は魔王の幹部。サヴェリオと言います。今あなた達は私の影に飲み込まれているので、絶対に助かりませんよ。そろそろ魔王様がいらっしゃるので、もう少しお待ちください...」  そろそろ俺の出番ってところか。俺は魔王城を出て敵が居る所へ行った。 「やっほー!俺が魔王だよ!今日はお前らを僕の餌にしていくよ!」 「くっ、お前が魔王...ぐぁ!動けないぃ...!」  まあ動けないだろうな。俺の優秀な幹部の魔法なのだから。でも俺の見せ場も作らないと。 「大丈夫。痛いようにはしないから。」  そう言って俺は例の魔法陣を広げて詠唱を始めた。 「こいつらを我が力にするのだ!ハァァァァ!」 「うわぁぁぁぁぁ!」  今日もいい名前が思いつかなかったが、気持ちと勢いでなんとかなるだろうと思った。  ...そんな事を思っていたら、どんどん俺の手に過激派の奴らが物理的に吸い込まれていく。まるで掃除機のように。 「わかりやすく吸われてるなぁ...」  あっという間に吸い込まれてしまった。そしたら次の瞬間体から何かを感じた。それに気付いた俺はステータスを見てみることにした。 「おおー。すげぇー!」  俺のスキルがパワーアップしたのだ。「魔法耐性V」が「魔法耐性VI」になって「物理耐性V」が「物理耐性VI」となったり、微妙なスキルアップがあったようだ。 「...これは良いな!全てのスキルが1づつ上がっている!」 「流石魔王であるお方!素晴らしい!」  意外とあっさり過激派の魔王城への急襲イベントが終わってしまった。まあもう辺りは薄暗くなってきたし、良い暇つぶしにはなったのかな...?意外と吸う所見てて気分良くなったし。  俺は魔王城へと戻っていった。 「じゃあ、夕食の準備を頼む。」 「かしこまりました。」 「サトウ!私も魔法使ってみたいな!」 「良いよ、今度テリーにも教えてあげよう。君なら知識や能力を上手く自分の体に吸収できるだろうな。」
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