第3話 切り抜けと最強の勇者

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第3話 切り抜けと最強の勇者

「一体なんの用でしょうか?」 「だから!ステータスを見せろ!」  俺はステータスを見せた。やはり相当怪しんでいる。もう仕方がないのか。俺は警察である彼を早速魔法を使って消し炭にでもしようと思ったが帰ってきたのは意外な返事だった。 「君は自覚がないかも知れないが、きっとこれは勇者の血を引いているんだぁ...このすごく強力なステータスは勇者かその血筋の者しか持っていない!だからどうだ?もう少し調べてみないか?」  それだけは本当にごめんだ。いや本当に無理、いろんな意味で。 「い、いや、俺はそういうの好きじゃないんで。じゃ。」 「え、あ...」  俺はそう言い残してそそくさと走って逃げて行った。でも多分あの店から盗んだと言っても通じない感じだったな。その「勇者の能力」は勇者固有のものなのだろうから、一般人に移せるわけが無いと言い返しそうな感じだ。まあ結論として怪しまれなかったから良いとしよう。 ◇  俺は冒険者ギルドへ戻り、依頼の相談をしてみた。でもこのステータスはあまり言わないほうが良いな。多分ランクがあるだろうから、最低ランクからコツコツやっていく事にした。  やっぱり、今の俺は一番下のEランクだ。まあこれから実践での実力でランクをあげていけばいいか。 「じゃあ、この依頼を受けます。『スライム討伐目指せ100匹』ってやつを...」 「...炊事くらいしか能力がないのに...大丈夫なんですか?」 「じゃあもし無事に戻ってきたら多少は強いって事を認めろよ?炊事しか出来ないって思ってたら後悔するぞ?行ってくるよ。」 「あ、あの!単独行動は危ない...」 「大 丈 夫 !だから。」  久々に大声を出して疲れた気でいたが、自己再生能力のおかげで俺の喉はなんとも痛くない。能力はこんなところでも役に立つのだった。いやでもここでの能力発動はいらないだろ。 ◇  俺はスライムが生息するという森の中に入った。試しにここまで少し走ってみたが、全く疲れなかった。これは便利だと思った。 「こんな走るのは前世の俺では出来なかった...流石勇者とかが持っていた能力だ。いえーい!!」  あまりうるさくすると色々と気付かれてしまうな。多分色々なパーティーが別用で居るだろうから迷惑にもなる。大声はやめておこうかな。  しばらく歩いていたら初めてスライムに出会った。でも何かが違う...王冠をしているのだ。スライムの王?それなら倒す前に挨拶するってもんだろうな。わざとらしく大声で挨拶してやろうか。 「あ、スライム様!お初にお目にかかりますねぇー!」 「はぁぁぁ!」  俺が近づこうとしたら目の前を剣がかすっていった。やっぱりスライムは依頼のために狩られてしまうのか。見た目はぷよぷよしてて可愛いのに。 「ってああああああ!まだ切れてない!どうしよぉぉぉ」  仕方がないなぁと思った俺はスライムに「ゴメンな」と言った後に自分の手でスライムの脳天を優しく触った。そしたら次の瞬間スライムが弾けた。つまり倒せたってことだろう。 「す...すごい。って言うかそれキングスライムじゃん!もっとすごい!」  キングスライム...?王冠がその「キングスライム」とやらであることに印だろうか。まあなかなか強いってこのなのかな? 「これって強いのか?」 「強いったって...初心者殺しですよ!この剣を見てください!」  さっきの剣が見事に真っ二つになっている。そんなに硬かったっけあのスライム?と思ったがここは多分初心者たちのための難易度が低い森だろう。しかもこれは俺の1つの目標を達成するための踏み台に過ぎないのだから。あいつらよりも上のランクとなって...な。 「じゃあこのキングスライムの王冠とかには普通のスライムの何倍も価値があったりするのか?」 「そうですよ!このキングスライムには普通のスライム100匹倒したと同じ事に出来ます。」 「でもキングって言うから1匹しか居ないんじゃ...」 「そんなことはありません!何匹も居ますし、大声を出せばすぐに寄ってきます。」  だからさっきの「いえーい」の後に寄ってきたのか?でも俺は今優しい手刀で倒すことが出来た。多分大丈夫だろ。 「後キングスライムは特に高い音に寄ってくる習性があります。だから注意を...」 「イーヤッフゥー!!フォーーーー!」 「ちょっと!寄ってきちゃうじゃないの!」  ここでようやく俺が言いたいことを言うことが出来る!俺は自信満々にって言うか事実だから言ってしまおう。 「一応、最強です。」 「...」  やっと言うことが出来た!俺は前世でギリギリあの大学に行くことが出来なかったからな。念願の「一応、〇〇です。」って言うことが出来た。  少し待ったらキングスライムの群れが100匹くらい近づいて来た。これは大体約10000匹のスライムの価値があるんだな。キングスライムの王冠の半分は彼女にあげてもいいかな。よし、じゃあ念願の初魔法をここで撃ってみよう。 「俺のそばに来るんだ。」 「は...はい。」  そばに来たことを確認して俺はしゃがみこんで、簡易的な円を土に描いてそれっぽく祈ってみた。とりあえず氷を下から突き出す攻撃をやってみたいのだ。 「...氷の精霊よ、我に力を...!」  それっぽい事を言ったら本当に氷が頭上に出てきた。次に俺は脳内で氷の動きをシミュレーションした。氷の円で俺達を囲んで敵には下から氷を突き上げ攻撃すると。 「す...すごい...!色々と...!」  俺が思った通りにそのまんま氷の魔法が炸裂した。氷の円で俺達を囲んで次に敵の下に入り氷で突き刺して攻撃した。見事にキングスライムは全匹倒れた。そして王冠をドロップした。 「ハッハッハ...流石に拾いきれねぇな。お前に半分やるよ。」 「...すごいです。」 「え?」 「それってあの歴史書の創作魔法ですよね!あの勇者が使っていた伝説の魔法の...!一体なんで!どうして!もしかして勇者の血を引いている方ですか!すごい...!すごい...!」  なんか大変な事になったな。こっちでも勇者の話かよ。やっぱりあのおじいさんの持っていたDNAみたいなやつってすげぇんだな。あのおじいさん、何者なんだ...。それより今はこの事態を収束させなければ。とりあえず勇者の血を引いていると今はウソをついておこう。それなら彼女の夢も壊さずに済むだろう。 「そ、そうかも知れないな。遠い遠い関係にあるかも知れないな。」 「す、すごいです!お話、もっと色々聞かせてください!」  また大変な事になった。お話って。何を話せば良いんだよ...
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