第6話 新しい剣と操り

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第6話 新しい剣と操り

「このコアで新しい剣を作りたいのですが。」  その言葉に一同は騒然とした。俺だって売ったほうが金になるのは分かっている。でもこれで武器を作ってみたいのだ。絶対に強いだろう。 「作れないことはないですけど...お金にすればいくらでも良い剣は作れますよ?」  そうかお金か...いい材料はあっても金がないとコアが収まる良い枠を作ってもらえないだろうな...そうだ。お金を今すぐ稼ぐ方法なら良いのがある...!そう思って俺は外に出た。 「はーい!これがあの伝説のドラゴンのコアでーす。金貨2枚で1指1回触らせてあげますよー。どうぞどうぞ〜。ギルドの受付のお姉さんがチェック済みなので本物ですよー。」  そうしたら狙い通り金貨を渡してコアを触る人がたくさんいた。いつの間にか長蛇の列になっていた。列の最後尾辺りを見たら、なんと俺をバカにした奴らが居たのだ。でも今日は疲れてやり合う気はないから張り合うのはやめておこう。俺は様子だけを見ていた。 ◇ 「ドラゴンのコアだってよぉ!こんなの触るしかねぇだろ!なあ姉さんよお?」 「こりゃ縁起が良いぜ。」 「うちらは遊んで冒険してるんじゃねぇよ。ほら、行くぞ!金貨なんか持ってねぇし...」 ◇  どうやら言い合いにならなくて済んだようだ。俺は少し安心した。でももしかして俺のこと覚えてない?なら尚更イラッとしてくるな。そんな事を思っていたら並んでいる列が終わり、俺はたくさんの金貨を手にしていた。  俺はギルドの建物へ戻った。 「どうでしょう?ざっと500枚くらいあるんで剣1本は作れますかね?」 「...すごくいい出来の物が出来ると思いますよ。鍛冶屋ならこの一本隣の通りにたくさんあります。」  とりあえず今日は寝て、明日行くことにしよう。 ◇ 「誰も怪しいやつは居ないよな?」  俺がもし地球上に居たら危なっかしい感じになっている。だって俺は今万札を何百枚も持っているような状態なのだ。でも今の俺は勇者の血を引いているらしいし、時々会った人にお辞儀されるくらいだから、大丈夫だろう。多分... 「金槌のマークがあるから、ここが『鍛冶屋通り』なのかな?」  俺は一軒一軒回って見ることにした。コアをはめ込むことが出来る良い店でやりたいからな。金貨なら相当あるらしいし。でも僕はやっぱりその金貨を日本円と比較したい。そうしないと価値がどれくらいかわからないからな。 「でも物語上では一番上の硬貨だよな?」  そして俺はこれじゃないかというのを見つけた。丸くて光輝いているようなロゴの店だから、ここなら剣にはめ込んで貰えそうだ。でも入る時の礼儀みたいなのが分からない...まあどうでも良いのか、ここはラーメン屋じゃないんだから。 「すみませーん、やってますか?」 「オウ!やってるぞ。お客さん、今日は何の用だい?」 「良い剣をここで買ってそこにこのコアをはめ込んで貰いたいんだが。」  そうして俺はこのコアを手に入れた経緯を話し、このコアがどのような物かまで言った。 「そうか、なかなかの代物なんだな。分かった、俺が作ってやろう。じゃあちょっと待ってろ。」  そう言って彼は俺にサンプルを見せてくれた。この黒いコアに似合うような剣を自分で選べだと言うのだ。とは言えたくさん種類があるな。竜の柄が良いかな?いや、でもシンプルに勇者っぽいシンプルな剣もいいかな。うーん... 「このシンプルなデザインに竜の彫刻を施すことは出来るか?」 「出来るけど、俺じゃないやつに頼むから多少遅くなるぞ。それでも良いか?」 「良いよ。それで頼む。」  そうして俺は金貨300枚を払い、コアを渡した。完成するのは2週間後らしい。元ニートの俺だが好きなことわざは「良い花は後から」だ。これは早く咲く花より時間をかけて咲く花のほうが綺麗という意味だ。つまり、良いものには時間をかけろって事になる。  少しお金が余ったからギルド常連のおじさんたちになにかおごってあげようと思ったその時、テリーが飛び出してきた。 「サトウ!大変だよぉ!」 「どうしたんだよ。」 「あのドラゴンが何者かに操られていたんじゃないかだって!」 「まあ中で話そうか。」  俺はギルドに併設されている飲み屋の席に座って水を飲みながら話を聞いていた。どうやらあのドラゴンは昔から居る何者かに操られ、世界を滅ぼすように指示されていたらしい。 「確かに数万年前の歴史書には『ドラゴンは人と暮らしていた』とかって書いてあったな。ということは、何千年も操作されているということか?」 「そうなの!しかもあそこまで大きな力を持たせられるのは魔王しか居ないから、現在は魔王説が最有力ね。」  魔王か...まさに典型的な「異世界」だな。更に話を聞いていると千年に一度しか動けないのは、バレないように魔力を吸い取っている機械がどこかにあって吸い取ってやっと満杯になるのがちょうど千年に一度らしい。 「そんな大掛かりな仕掛けがまだ見つかっていないのか。」 「そうなんだよね...」  どうやら「ざまぁ」するどころでは無くなってきてしまったのか?これで魔王が激怒して世界崩壊の危機なんて勘弁してくれよって感じだけど... 「まあ、もし現れた時はその時だよ!気楽にしないと、いつか疲れちゃうよ。」 「それもそうですね...!」  今俺は勇者の血を引いている人らしくないことを言ったかも知れないが、俺は実際勇者の血なんて引いてはないんだから。元を辿ればあのおじいさんが能力を付与してくれたんだからな。俺はあのおじいさんに感謝したい所だ。 ◇ 「何?私が操っていたドラゴンが負けただと!?」 「はい、申し訳ありません...不徳の致すところです...」 「今までの最強勇者も|それ(ドラゴン)で倒してきたのに!?しかも倒したのは『勇者の血』を引いているってだけの奴なのに!?怖すぎぃ!勝てるわけないじゃーん...」 「...でも、もう魔王しか行けないんじゃないでしょうか。」 「しょーがないなぁ...行きますよ!行けば良いんでしょ!」  魔王はマントを身にまとい、住処である魔王城からサトウの居る街へ出掛けた。
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