第7話 剣の完成と魔王

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第7話 剣の完成と魔王

 あれから数週間経ったので、もう剣は出来ているだろうと俺は例の鍛冶屋に行ってみた。 「すみませーん!あのサトウですけど、剣は完成してますか?」 「おお!すっかり完成しているぞ!」  俺は期待に胸を弾ませながら、その完成した剣を見せてもらうことにした。彼は重厚そうな箱を持ってきてそれを開けた。 「これがお前のコアを埋め込んだ剣だ。すごいだろ?このこだわりようは。」  俺はそれを見た瞬間感動した。出来たてのピカピカの剣に漆黒で綺麗なコアが埋め込まれているのだ。しかもちゃんと竜の柄がコアを中心に掘られている。 「す...すげぇ。」 「まあ後はお前が持って使ってみないとわからないけどな。俺たち鍛冶師は良いものを作ったつもりだ。」 「そうだな。でもその前に...」  俺は剣をつかんで、詠唱を始めた。自分の剣なのだからどのような効果を付与しても俺の自由だからな。俺は創作魔法で最強の剣を作ってみようと思ったのだ。 「神々しく輝く光よ。今、この剣に取り込まれろ...」 「うわっ!眩しい!」  次の瞬間、まばゆい光が辺りを照らした。その後その光は剣の中に吸い込まれていった。どうやら魔法は成功したみたいだ。まあ創作魔法だから俺の言うとおりに動くんだろうけど。 「今...何をしたんだい?」 「ちょっと魔法効果を付与しただけだよ。ありがと。また来るよ。」 「は...はあ。」 ◇  俺は剣が完成したよと報告するためにギルドに戻ろうと片腕に剣を大事そうに抱えていたら、前から大きい人が声を掛けてきた。 「お前がサトウか?」 「え?そうですけど?」  何か嫌な予感がするから、一応身構えた。 「お前...」  その低い声が聞こえた瞬間俺は剣を取り出した。俺を消す目的なのだろうか。だとしたらこいつは誰だ?魔王の手下かなにかか?もしそうならもっと危ないな。どちらにせよ早めに片付けておこう。俺は魔法の詠唱を始めた。 「ちょっと待って!話が...」 「この闇は光をも飲み込む!いけ!|漆黒ノ一閃(ダークネス・フラッシュ)!」 「ちょっとぉぉぉまだ話があるのにぃぃぃx」  真っ黒に光る模様が相手の体を一瞬で貫いた。そして数秒にして相手は塵となり消えていってしまった。やっと中二病時代の俺を思い出してきた。 「この剣強え!でもさっきの技名はやっぱり痛すぎる...それに何か言おうとしてたな。まあ良いや、怪しかったから塵にしたとでも言っておけば良いだろ。」  謎のどうにかなるだろという気持ちになってからしばらくして、どうしたどうしたと人々が通りに駆けつけた。その中の1人にはテリーも居た。 「やっぱり!さっきの黒いのはサトウだったのね!」 「見ろよあの紋章!あれは確か魔王の物だぞ!」  誰かがそれを言うと、また視線が俺の方向に集まる。そして人も集まってくる。テリーは驚きながら紋章と俺の方を10度見くらいした後に俺の方を向いて言った。 「本当に...魔王を倒しちゃったの?」  俺は座った状態でキョトンとしていた。え?あれ魔王だったのと。状況が全く理解できなかった。確かに嫌な気配がしたから魔法を発動させたけど、え? 「本当に魔王だったの?あれ。」  そう言ったらテリーはこれを見ろと言わんばかりに魔王の紋章を近くに持ってきてくれた。この紋章は歴史書で見たことがある。確かに魔王の紋章だ。ということは...? 「本当に魔王倒したんだ...」 「そうだよ!やっぱりすごいよ!魔王なんて今まで何百人居ても倒せなかったんだからね!」 「今日は盛大に騒ごうじゃないか!」  何かよく理解できないまま勝手に話が進んでいる。まあ、少し早くゲームをクリアしたようなもんだから悪いことはないだろう。 「じゃあギルドに戻って...」 「ちょっと待ってください。」  この声に人々は後ろを振り向いた。規律正しそうな女の人がそこに立っていた。俺の方をじっと向いていた。そして少し強い口調で言い始めた。 「私はこの国の王の幹部の『レベッカ』と申す。今日は王の命令によりここに来た。サトウ!王宮まで来てもらおうか。これは命令だ。」 「は...はい。」  え?何?俺なにかされちゃうの...?もしかして魔法の事がばれちゃったとか。あるいはこの人、いや魔王を倒したらなにかまずかった?とりあえず付いていかないとまずいよな。  俺は黙ったまま王宮直行の馬車へ乗った。乗り心地は良かったけど緊張感でそれが薄れている。 ◇  そうして俺は馬車に揺られながらその幹部とやらからの質問に答えていた。 「お前が魔王を倒したんだな?」 「はい。」 「それで、お前は創作魔法を使えるのだな。」 「は、はい。」 「あとお前はあのドラゴンも倒したのだな。」 「はい...」  やっぱり怪しまれているのか?さっきから倒したとか魔法とかの話しかしていない。バレたか?それともあのおじいさんが全てばらしてしまったのか?怖いなあ。異世界にせっかく転生したのに、あっけなく終わってしまうのか? ◇ 「着いてしまった...王宮。」  馬車に揺られること2時間。ここは王都なんだろうか?窓から綺麗な町並みが見えたけど...って。そういう場合じゃない。何の話をするんだろう...  王宮の廊下はきらびやかだ。柱の元に金色のお皿とか飾りとか。まさに王の嗜好と合いそうな物ばっかりだ。廊下を歩きながらそう思っていた。 「着いたぞ。ここが王の部屋だ。ここから先は私も入れないため、礼儀を守れとだけ言っておこう...」  それだけを言い残して行ってしまった。しょうがない。そう思いながらドアをノックし、入っていった。王の部屋はいかにもという綺麗な白色の大理石と金装飾が施されていて、とても王にふさわしい部屋だ。  王からは何も言われないので、勇気を振り絞って質問した。できるだけ丁寧に。自分を卑下しないと... 「あの、今日はわたくしめにどんなご用で...」 「お前はすごい!よくやった!」 「...え?」
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