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「『夏の終わり』には、あなたとの出会いから
未来までの僕の『想い』を
小説に込めたんだ……」
石上からそう告げられた里子。
「窓側の机に向かうあなたが
カーテン越しに夕陽が見え隠れする。
スラスラとペンを走らせるあなた。
私は、あなたのその後姿が好き。
ペンを走らせるあなたが好き……」
石上の『想い』に応えるように里子も
彼にそう告げた。
窓の外から聞こえていた蝉の声は、
いつの間にか、蜩の声に変わる。
窓から見える夕焼雲を見上げるふたり……
暑かった夏は、
黄昏雲とともに、終わりを告げた。
~あなたが綴る『夏』 完 ~
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