『夏の終わりに』

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『夏の終わりに』

互いを見つめ合う二人、 机の上に置いてある原稿に気づいた里子は ソファーから立ち上がり、 風でめくれた原稿のページをもとに戻す。 原稿用紙の上に書かれた文字に気づいた。 「『夏の終わりに……』」里子がそう呟いた。 「ああ、昨日書きあげた新作だよ」 「いつの間に……」と驚く里子。 「あなたとの出会った季節『夏』を題材にして  どうしても描きたかったんだ……」 「でも、描きたかったのは『夏』なのに、  どうして、『夏の終わりに』なんですか?」 「僕が描きたかった『夏』は、  あなたとの出会いが『夏』、  始まりが『夏』だったから。  出会いの先に、  未来があればなぁ……と思って  だから、『夏の終わり』には、  あなたとの出会いから  未来までの僕の『想い』を  小説に込めたんだ」 石上が里子にそう告げた。
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