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先生の仕事
里子と、小説『朝露の君』の編集の
打ち合わせを終えた石上は、
窓の前に置かれた木製の大きな机の
前に置かれた椅子に座ると
加筆部分を原稿用紙の上でペンを走らせる。
彼のペンを握る手と、その背中を確認すると
里子は、持参した予備の原稿に目を通す。
書斎の中には、サラサラと石上が
ペンを走らせる音と、
里子が、予備の原稿のページをめくる音
だけが聴こえる。
一時間程経過した頃、
「う~ん、出来たぁ……」とペンを置き
両手を天井に向かって突き上げ、
背を伸ばす石上。
里子もソファーから立ち上がると、
石上の隣に立ち原稿を手に取り、
加筆部分のページを読み始める。
「先生、いいですね。お疲れ様でした」
と声をかける里子。
里子の満足そうな顔に安堵する石上、
「では、明日、編集長へ提出します」
と言うと里子は石上の家を後にした。
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