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ブスって事は誰にとってのブスなのか
「君にとってブスでも俺にとってはブスじゃない」
彼はそう言っていた。
「俺、彼女の顔が好き」
不思議な言葉。
私の人格を丸ごと包んで、救ってくれた言葉。
「女の子は皆んな可愛い」
別に私だけが特別って事じゃない。
「可愛いいが溢れている世界に住んでいるのって、幸せだと思うんだけど」
彼にとっては全ての事が可愛いくて、愛おしい世界。
何だか幸せそう。
私と目が合うと、彼は恥ずかしそうに照れ笑いをした。
なぜなんだろう。
心がときめいて、ドキドキする。
私の事、可愛いいって思ってくれているのかな?
彼の言葉には愛が込められていて、救われる。
本当に私が可愛いいかどうかなんて、関係ない。
彼が可愛いと思ってくれている事が重要で、彼が私の存在意義を認めてくれている事が大切だった。
だけど、彼と顔を合わせる機会は全校集会の時しかなく、私は彼の名前を知る事もなかった。
受験期にも入り、彼の正体を知る事もなく私も彼も地元中学を卒業して行った。
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