27人が本棚に入れています
本棚に追加
1 おうえんねこ
翌朝、目覚めるとまだ朝の九時だった。朝のうちに起きるのは久しぶりだ。柔らかい陽ざしを浴びて、気分が良かった春姫は、散歩がてらコンビニへと向かうことにした。パジャマ代わりの高校時代のジャージの上からコートを羽織る。マフラーを巻き、ショルダーバッグを斜めにかけて、自分の胸元を見下ろす。
多分、大丈夫。
――ノーブラだけど、コート着てるし、コート脱がないし、すっぴんだけどメガネしてるし、マスクもするし。
春姫は胸元のひもを握りしめた。
――ブラジャー付けなくても大丈夫なくらいしか、ないし。
俯いて吐き出した息が白い。
戻ってくる頃には温かくなっていることを信じて、エアコンのスイッチを入れてから出かけることにした。
最初のコメントを投稿しよう!