11 さぽーとねこ

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11 さぽーとねこ

 台車にパイプ椅子と折りたたみ式のテーブルを積んだ春姫は、額の汗を手の甲ではらった。社用車のトランクの扉を閉める。  季節はいつの間にか夏になっていた。 「あいさつ行ってくるから、いつものところに設営しておいてくれる?」 「はい、分かりました」  押村の背中に返事をして、台車を押しながら駐車場を横断する。今日の現場は、春姫が最初にチラシ配りのアルバイトをしたディッシュタウンだ。
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