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相性は?
「良かったね〜、智輝の隣とか」
「ん……変わろうか?」
席替えから数日後の昼休み。
前の席を借りて私の席で弁当を広げるのは、親友の白月葵。私とは対象的なショートカットで背は少し低めだ。
「何その反応」
「そもそも彼女さんがいるしね。それに……なんか噛み合わないんだよね」
信じない女子生徒が多いけど、彼には彼女がいる。今、私の目の前にいる私の親友のことだ。
それは問題ではないけれど、私は席替え後から不満を感じていた。
不満というのは、隣の席だからこそある授業中の意見交換などのいわゆる"ペアワーク"だ。私の意見と彼の意見は噛み合ったことがない。私の意見を彼は否定し、彼の意見に対して私は納得しない。結局意見が纏まらずに言い争ってしまう。
「なんか……合わないんだよね……」
「へぇ〜、意外。じゃあさ、これやってみない?」
彼女が私の前に突き出したのはスマホの画面だった。そこには「相性診断」と書かれていて、パーセントでそれを現してくれるとのこと。
「結構話題だよ?当たるって」
「そうなの?でも、わかったところで……」
「いいからっ!やってみよ!私が彼にやってみてって言ってくるね」
こっちの意見をあまり聞かずに、楽しそうに離れて行ってしまう葵。
上条の方へ行って「これに答えてみて」と言っている姿が視界に映る。
「よく、男子の輪の中に積極的に行けるな。流石といったところか」と私は苦笑いしながらその姿を見る。そしてしばらくすればニコニコしながらこちらへ戻ってきた。
「ふっ!ふーん!80パーセントだって」
「流石だね。で、自慢されたわけだけど、私やる必要ある?」
「いいから、やってみて!」
突き出されたスマホを手に取ると、そこには「質問に直感で答えてください」と書かれていた。
「はいはい、答えた」
結果を見ずに、彼女にスマホを返す。ニヤニヤしながら彼女がスマホ画面を見るが、そのまま固まるように何も言わなくなってしまった。
「あ〜〜」
「どうしたの?」
「これ……」
目の前に向けられたスマホの画面には、なんと"相性は0%"と書かれていた……。
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