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それから数日経った日の朝、私は起きてからスマホを手にして通知を確認する。
"メッセージ2件"
通知表示にはそのような文字が書かれていた。瞼の重い目を指で揺さぶりながら、内容を確認しようと通知を開いてみる。
すると、
『いつもありがとうね』
『これからもずっと親友でいてね』
という葵からのメッセージが表示されていた。
私は「今になって何言ってるんだか」と呟きながら『当たり前だよ。ずっとずっと一緒』と返信して、画面を閉じた。
「行ってきます」
登校すれば変わらない教室、変わらない日常風景だ。葵の姿はまだなくて、「来たら色々聞いてみよう」と朝のメッセージ内容について聞いてみようと登校を待つ。
「はい、皆さん。おはようございます」
でも、葵より担任の先生が教室に入ってくることが先立った。
「休みか……」
風邪でも引いてしまったのだろうと、私は思いながら先生を見つめると、先生がこう話す。
「色々始める前に、話があります」
先生が険しい表情で、なんと教頭先生や学年主任の先生を教室へと呼んだのだった。
「伝えるべきと思って話をします」
入って来るや否や、教頭先生が動揺する皆の前で話を始めた。
「全員落ち着いて聞いてほしい。このクラスの白月葵さんですが……」
「えっ……」
唐突に出来たのは、まさかの"葵“の名前。
これは誰が予測できたのか。いや出来るはずがない。内容が話される前の名前が出てきた段階で私は動揺し始めて、自分のことのように心臓が鼓動を早めた。
「旅立たれました。自ら命を絶たれたとのことです」
「ちょっと!教頭先生、そこまで話さなくても」
「い……ま……なんて……」
学年主任の先生が慌てる。
私は耳を疑った。自ら命を?葵が?そんなことはないはず!そんな……急に……。
教室の中は凍るような静けさと、現実を受け入れることができない人達で溢れる。
『そんなことは……そんなことはっ!!!』
聞き間違いだ。おかしい。夢を見てると思いながら、受け入れることができない私は椅子に座っていることなどできなかった。
「ど……何処行くの!?」
静まった空間に机を滑らせる音と、椅子を倒す音を響かせて、私は教室から飛び出してしまった。
「行かせてあげなさい」と教頭先生が止めてくれたこともあって、先生が追ってくることもなかった。
「嘘だよね……嘘。そんな……。だから、あんな事を送ってきたっていうの?」
スマホの画面を開いてメッセージを確認する。送信されたのは深夜3時という表記があって、寝ている時間帯であったため気づくことはなかった。
「葵ーー!!!」
青空広がる大空に向けて私は全力で叫ぶのだった――。
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