24 OL、無愛想なエリート先輩と未来を誓い合う。

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 あの日、動物園から帰ってくると、麻凪くんは私にお絵描きをせがみ、悠宇さんに動物ごっこをせがみ。  それが嬉しくて、答え続けていたらいつの間にか夜になり。  麻凪くんがなかなか寝付かず、やっとのことで寝たその後のこと。  リビングで待っていた私に、寝室から出てきた悠宇さんは唐突に口づけを落としたのだ。 「え、ちょっ!」  思わず大きな声が出て、慌てて両手で自分の口元を塞いだ。 「家ならいいと、さっきは言っていた」  悠宇さんはなぜ私が驚いているのか、まったく分からないという顔をした。 (まさかの無自覚~!?) 「それは言葉のアヤです!」 「言葉の……アヤ……」  言いながら肩を落とし、しゅんとする悠宇さん。  なぜかものすごく申し訳ないことをしたような気分になる。 「あ、あの、別に私だって嫌なわけじゃないんです。でも、何て言うか、こういうのは心の準備が必要っていうか……」  慌てて弁明を試みる。  すると、悠宇さんは突然私から距離を取り、「悪い」と一言呟いた。 「そういえば、奈紡は前の彼氏にひどいことを言われたんだったな」  そう言って、悠宇さんは私に手を伸ばし、その手を私の頭にポンと乗せた。 (覚えてたんだ……)  ほっとしたような、残念なような。  嬉しいような、悲しいような。  昔の恋人のことも相まって、なぜだか涙が溢れてしまった。  途端に目の前の悠宇さんは、はっと目を見開く。 「悪かった、そんなに嫌だったのか……」 「違……」  悠宇さんとのキスが、嫌なわけじゃない。  けれど、その言葉は届かずに。 「奈紡の心の準備ができるまでは、触れないと約束する。人生はまだ長いからな」  そのまま、悠宇さんがキッチンに行ってしまうのが、どうしようもなく寂しくて。 「あの、ぎゅってするだけとかだったら……嫌じゃ、ないですから」 「本当か?」  振り向いた悠宇さんは、困ったような嬉しいような、とても複雑な顔をしている。 「きっと、悠宇さんなら私の嫌なことはしないって、そう思うから……」  言いながら恥ずかしくなり、俯く。  すると、私は突然大きなぬくもりに包まれていた。  悠宇さんの両腕に、閉じ込められていたのだ。 「……もし嫌だったら、俺のこと引っぱたいていいからな」  冗談交じりにそう言う悠宇さんの腕の中で、私は幸せを感じていた。
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