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夕陽の差し込む教室の片隅で、四人の少女が一つの机を囲んで座っている。
机の中央に置かれた一枚の紙には、ひらがなの五十音と”はい”、”いいえ”、それから簡単な鳥居が描かれており、その上に乗せられた一枚の五円玉の上にそれぞれが人差し指を乗せている。
「こっくりさんこっくりさん、〇〇さんの好きな人は誰ですか?」
その中の一人が言うと、四人の人差し指が乗った五円玉が紙の上をゆっくりと動き始め、文字の上で止まり、また別の文字を目指して動き始める。
”じ” ”か” ”う” ”は”
少女たちは小さく肩を落とした。
「今回も失敗なのかなぁ」
「うーん……」
少女たちがこっくりさんを開始してから三十分ほどが経過しているが、返ってくる答えはどれもデタラメで意味の分からないものばかりだった。
「明日の授業で抜き打ちの小テストはありますか?」
”お” ”あ” ”も”
「今週は雨が降りますか?」
”ぁ” ”そ” ”いいえ” ”こ”
「私は運命の人と出会えますか?」
”はい”
その返答に少女たちは思わず息を飲んだ。 初めて意味のある答えが返ってきた事に歓喜したのも束の間、一人がある異変に気付いた。
「ねぇ、なんか変な臭いしない……?」
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