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第二章
「えー今から、転校生を紹介します」
あれは中三の八月の二十五日のことだった。
始業式を終えて、教室に戻ってきて、窓側から二番目の、一番うしろの自席に腰掛けて窓の外を眺めていたら。
突然、担任の夏木先生がそう言ったんだ。
皆は中三の二学期に転校生が来るなんて、どんなやつが転校してくるのかと思って凄い食らいついていたっけ。
ガラガラっと教室の前方の引き戸が開いて、転校生が教室に入ってきた。
おおぉっ、という感嘆の声が皆からあがった。
あたしは窓の外を眺めるのをやめて、何となしに転校生の方に目線を向けると。
そこには、今まで見てきた人の中で、一番美麗な顔をした少年が立っていた。
どんなジャニーズとかのアイドルよりもずっとずっと整った顔をした、目に光が点っていない少年。
「始めまして。高比良瑠輝乃(たかひらるきの)、と言います。数ヶ月という短い期間ですが、よろしくおねがいします」
そう、彼は名乗って、ペコリと頭を下げた。
あたしはとても彼に興味を惹かれた。
…なんだろう、今まで見てきた人たちと、彼は違う気がする。
「高比良さんは、これから、ここ三年二組のメンバーの一員となります。…それじゃあ高比良さん。高比良さんは、水葉(みずは)さんの隣の席に座ってもらえる?…黒板見えにくいとかなにかありましたら、言ってくれれば席替えますから」
そう言われた瑠輝乃は、あたしの左隣の席_一番うしろの列の一番窓側の席、に腰掛け、あたしに向かって微笑みかけてきた。
「これからよろしくね、ミズハさん」
あまりにも整った顔をしているものだから、あたしはどきりとしてしまった。
「高比良さん。…その、よろしくおねがいします‼」
「うん、よろしくね」
なにか夏木先生が話をしていたが、あたしの頭の中は瑠輝乃で一杯で、全然耳に入ってこなかった。
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