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夏木先生が話をし終わって、教室を出ていくと、皆は瑠輝乃の周りを取り囲んで、瑠輝乃に質問攻めをした。
「高比良くん‼高比良くんって、何処の学校から転校してきたの?」
「好きなタイプはっ!?」
「好きなドラマは?」
「兄弟はいるの?」
「彼女はいるの?このクラスで気になってる人は?」
「ほら、高比良さん困ってるじゃないの。一つずつ質問しなさいよ」
そう、リーダー格の楪(ゆずりは)さんが言ったことにより、瑠輝乃を取り囲んでいた衆は一瞬黙ったあと、一つずつ質問していった。
「…高比良くんは、何処の学校から転校してきたの?」
「衣娃(いあい)学園、から」
衣娃学園!?
日本において、学歴レベルの高いとされている、三第名門中学に、此処枠山学園中等部、瑠輝乃の転校前通っていた衣娃学園中等部、爾学院中等部、が選出されている。
その一つの衣娃学園から、枠山に来たとは…。
皆もそれを感じたのだろう。おおっという歓声が上がった。
「好きなドラマはっ!?」
「ドラマ…。Giver or Taker?かな」
Giver or Taker?好きとは‼
あたしと同じではないか‼
「知らなぁいなぁそのドラマ」
「今度見てみるー」
などという言葉が飛び交った後、好きなタイプやら彼女はいるかやら、またもや質問が一つづつ、なされていった。
そのたびに、瑠輝乃は一言でぽつり、と回答をした。
余計なことは一切言わず。ただ聞かれたことだけを答えていた。
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴り、瑠輝乃から皆が一斉に離れていく。
帰りのHPを終え、皆は瑠輝乃に一緒に帰る誘いをしたが、瑠輝乃は
「一人で帰りたい」
と誘いを全て断っていた。
あたしはその間、図書館から借りてきた『〇〇県今昔殺人伝 十八巻』に目を通していた。
瑠輝乃と帰ることを諦めた子たちがバラバラと教室を出ていっていく。
「…ミズハ、さん」
突然、瑠輝乃に名前を呼ばれた。
呼ばれた瞬間、教室に残っていた人全員が、あたしのほうに視線を注ぐ。
「は、はい?」
「…一緒に帰ろ、ミズハさん」
「あっ、はい‼」
あたしは慌てて読んでいた『〇〇県今昔殺人伝 十八巻』を閉じ、学校指定の鞄に入れ、鞄を背負った。
「…あ、じゃあ帰ろ、高比良さん」
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