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翌日、思い切って外に出てみることにした。深呼吸をして玄関の外に一歩足を踏み出したら、夏草の香りを含んだ初夏の風の匂いがとても懐かしくて、今まで何を怖がっていたんだろうという気持ちになった。
歩いて五分ほどのところにある自販機でコーラを買った。ついでに母の分の紅茶も。ここまでは順調だったのだがーー。
缶を持って歩き出した時、向こうからがやがやと話し声がして心臓が飛び上がった。自販機の陰に隠れ恐々覗くと、高校生らしき女子三人組が歩いてくるのが見えた。汗が吹き出し動悸が速くなる。
鮮明に蘇る記憶ーー。
公園の薮の陰、僕の身体を押さえつける制服姿の二人の女子と、僕に馬乗りになる一人の女子ーー。苦痛に喘ぐ僕をみて、ケラケラ笑う三人の女たちーー。
恐怖、絶望、恥辱ーー。
感情がフラッシュバックし、耐えきれず蹲る。激しい動悸、呼吸困難ーー。
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