猫の涙

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 五年も経つのに、僕は一つも立ち直れていなかった。  当時、学校に行けない理由を周りの人たちに何度も聞かれた。だが恥ずかしい思いをして話した挙句信じて貰えなかったらと考え、誰にも打ち明けられなかった。  どうせこの苦しみは誰にも理解できない。そう思い込み、全てから逃げる道を選んだ。  もしあの時誰かに話していたら、状況は変わっていたかも知れない。
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