猫の涙

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   打ち合わせ場所のホテルのラウンジは、八王子にあった。日本庭園の見える趣のある場所だった。    東京に来たのは初めてだ。  先についた僕は、窓際のソファに腰を下ろし外を眺めていた。 「お待たせしました」  声がかかり反射的に立ち上がる。  現れた編集者の望月さんは、僕よりも10センチ近く背の高い切長の目をした男性だった。何となく懐かしい気がした。 「よ、よろしくお願いします!」  差し出された手を握り礼をした。
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