気まずいブラッシング

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気まずいブラッシング

楽しい会話のさなか 私は調子に乗っていたのか なんてことなく 気負いなく あくまで自然体で言った 「あなたはいつもそうだよね」 すると突然 黙り込んでしまったあなた 「どうしたの」と訊ねても 「話しかけないで」と言われる 何がいけなかったのか 今の会話を思い返す 配慮が足らなかった? 馴れ馴れしすぎた? 少し偉そうだった? でもごくごくナチュラルに 思ったまんまを言っただけだよ あなたはいつもそうだから そういうところが好きだって 伝えたつもりだったのに 不安な気持ちで あなたを窺ってみる こんなことで終わりたくない こんなことで失くせない恋だよ そうしたら あなたは急にキスをしてきた 不意打ちに驚いた私に あなたが言う 「ごめん」 「照れてた」 「俺のこと分かってて嬉しい」 なによ、もう 驚いたじゃないか 本当に本気で慌てたんだから その後 私はひとしきりあなたを怒り 不安にさせられた罰として あなたなりの意味をこめた 指輪を『ふたつ』 所望した
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